掛け算順序問題は、算数教育が前提としている「日本語」に起因した問題かもしれない

だいぶ前にネット上で、掛け算順序問題が再沸騰していました。例えばこちら。

教育がやばい「掛け算の順序にこだわる教科書」

学習指導要領によると、例えば「箱が5つあります。それぞれりんごが3つずつ入っています。りんごは全部でいくつでしょう。」という問題に対しては、3×5=15なら正解で5×3=15は不正解ということになるようです。ネット上では「不正解はかわいそう」「答えが合っているので正解でいいじゃないか」「文脈を拾った立式が重要なので3×5じゃないとダメ」など様々な意見が見られております。

ちなみに私が小学生の頃も、学校でこれに関連した騒ぎが合ったようで、わざわざ保護者が学校に集められて3x5=15じゃないとダメですよっていう説明を受けてきたのを記憶しています。

ところで、つい最近スポーツ動画を観ていて発見したのですが、一人100mずつを4人で走りぬく競技を英語では「4x100 meters relay」と表記しているのですね。これ、この算数の掛け算順序問題に照らしてみると100x4じゃないとダメじゃないんですかね...と考えていたところでピンときたのですが、もしかしてこの算数の掛け算順序問題とは日本語が原因で生じている問題なのではないでしょうか?

例えば英語では3x5は "3 multiplied by 5", "3 times 5", "3 by 5" などの読み方があると思いますが、"3 multiplied by 5"は確実に「3の5倍」ですが、"3 times 5"などは「5の3倍」と解釈することができると思われます。すなわち英語ならば掛け算の表記にかかわらず解釈(読み)を柔軟に変更できるので、3x5でも5x3でもどっちでもいいのではないかということです。だから4x100 meters relayでも「100mの4倍」と問題なく解釈できるのではないかと。

それに対して自然な日本語の文章というのは、関係代名詞などを多用する英語と異なり、物事の自然な記述が前から順番に行われます。したがって、3x5というのは前から順に読んで"3が5つ"であり、"3が5つ"といったら「3の5倍」以外の解釈の余地が無いように思えます。すなわち掛け算の表記順序とそれが持つ日本語の意味が1対1で、英語よりも厳密に対応しているということです。そのため日本語の文脈では5x3を「3の5倍」と解釈するのは不自然で受け入れがたいのです。

さて、数学のように式のみで簡潔できるような抽象性は、小学校に入りたての子供には厳しいでしょう。ですから初等算術の場合はどこまでも具体的になる必要があります。そうすると、日本で算数を教える場合、日本語を用いた日本での生活という文脈で現実に即した具体的な問題を作成することになります。つまり最初から(日本の)算数は日本語に縛られているのです。

つまり算数が日本語の文脈を強力に前提として持っているため、算数でも自然と掛け算順序問題が生じてくるということです。言ってしまえば、掛け算順序問題は算数ではなくて日本語の問題なのだと思います。

以上ですが、相当なレベルで妄想が入っている気がします。英語圏の人に一度話を聞いて、再度検証してみようと思います。